Hugo v0.145.0 リリースノートまとめ

設定（config）マージの改善
デフォルト設定の適用順序が見直され、モジュールやテーマから読み込んだ設定をルートの設定により柔軟に統合できるようになりました。具体的には、config.toml 等で _merge = "deep" を指定すると、インポートしたモジュールやテーマの設定を深い階層までマージするようになります。これにより、複数サイトで共通設定を共有する際に、設定の上書きや階層構造が意図しない形で失われる問題を回避しやすくなります。詳細についてはドキュメントを参照してください。

テーマスケルトンのテンプレート名調整
テーマ作成用スケルトン (create/skeletons) において、一部テンプレートファイル名が変更されました。既存のカスタムテーマをインポートしている場合は、ファイル名の差分に注意してください。

コードブロックレンダリング
組み込みのコードブロックレンダリングを、カスタムの render-codeblock-*.html テンプレートよりも優先するよう修正されました。

Vimeo/YouTube ショートコード
allowFullScreen オプションの不具合が修正され、YouTube/Vimeo ショートコードで全画面表示が正しく機能するようになりました。

設定マージ (_merge) のバグ
キーが存在しない場合の _merge 処理に関する不具合が修正されました。

タイポ・文言修正
ドキュメントやコード内の軽微な誤記やコメント表記の修正が行われました。

画像テキスト配置の活用
新しい aligny オプションにより、images.Text を使用した画像上のテキスト配置の自由度が高まりました。alignx と組み合わせて使うことで、テキストを画像の縦横中央に配置するレイアウトが簡単になります。必要に応じてショートコードやテンプレートの更新を検討してください。

設定統合の活用
複数テーマやモジュールにまたがる設定を共通化している場合、config.toml に _merge = "deep" を追加すると良いでしょう。これにより、インポートした設定を階層構造のまままとめて取り込めます。ただし、マージ時に意図しない上書きが発生しないか、アップデート後に設定ファイルの挙動を確認してください。

カスタムテンプレートの確認
独自に作成した render-codeblock-*.html テンプレートなどがある場合、内部レンダリングの優先度変更によって出力結果が変わる可能性があります。新バージョンでサイトをビルドした際に、コードブロックの表示が期待通りかチェックしておくと安心です。

ショートコードの挙動確認
既存サイトで Vimeo/YouTube ショートコードの allowFullScreen オプションを使用している場合、今回の修正により全画面表示が正しく動作するようになります。特に何か対応する必要はありませんが、アップデート前後で動作に差がないか確認しておくと良いでしょう。

テンプレートシステムの刷新
Hugo v0.146.0 では、Go テンプレートの処理方法が全面的に再実装され、layouts フォルダの構造変更や、より強力なテンプレートルックアップシステムが導入されました。これにより、テンプレートの管理と再利用が容易になります。詳細は 新しいテンプレートシステムの概要 を参照してください。

新しいテンプレート関数の追加

• templates.Current: 現在実行中のテンプレートとそのコールスタックに関する情報を提供します。デバッグ時に有用です。
• time.In: 指定された IANA タイムゾーンで日付/時刻を表現します。

layouts フォルダの構造変更

• _default フォルダは削除され、そこにあったファイルは layouts/ のルートに移動されました。
• layouts/partials フォルダは layouts/_partials にリネームされました。
• layouts/shortcodes フォルダは layouts/_shortcodes にリネームされました。
• layouts 内のフォルダでアンダースコアで始まらないものは、ページパスのルートを表します。これらは必要に応じて深くネストできます。また、_shortcodes や _markup フォルダはツリー内の任意のレベルに配置できます。

パーシャルテンプレートのルックアップキャッシュの追加
パーシャルテンプレートのルックアップにキャッシュが導入され、ビルドパフォーマンスが向上しました。

テーマ作成の改善
hugo new コマンドによるテーマ作成機能が改善され、より効率的にテーマを作成できるようになりました。

テンプレート構造の移行
新しいテンプレートシステムにより、layouts フォルダの構造が変更されました。既存のプロジェクトでは、以下の対応が必要です：

• layouts/_default フォルダの内容を layouts/ のルートに移動する。
• layouts/partials を layouts/_partials にリネームする。
• layouts/shortcodes を layouts/_shortcodes にリネームする。 これらの変更により、テンプレートのルックアップが正しく機能するようになります。

テンプレート関数の活用
新たに追加された templates.Current 関数を利用することで、テンプレートのデバッグが容易になります。また、time.In 関数を使用することで、特定のタイムゾーンでの日付/時刻の表示が可能になります。

ビルドパフォーマンスの向上
パーシャルテンプレートのルックアップキャッシュの導入により、ビルド時間が短縮される可能性があります。大規模なプロジェクトでは、ビルドパフォーマンスの改善が期待できます。